第4回「絵と言葉のチカラ展」受賞作品紹介(2)
齋 正機賞
 
- 《オナジイキモノナノニ》 絵・言葉 神田 文乃
 2024年 50.0×65.2 cm 油彩 同じ動物なのに、人間だけが他の生き物と違う。
 人間でない動物になりたい。
 お腹が空いたら食べ物を探して、眠くなったら寝床をつくって、陽の光を浴びて、水浴びをして。
 今を楽しみたい。
 どうして人間は、先のことばかり気にするのかな。
 人間も同じ生き物なのに。
 もし、生まれ変わることができるなら、僕は亀になりたい。
山下裕二賞
 
- 《さかえ銀座商店街》 絵・言葉 村山 建司
 2024年 53.0×65.2 cm 油彩、キャンバス 昔、この町には大きな工場があって、たくさんの人が働いていました。ところが、その工場が閉鎖されると町から若者の姿が消え、子供たちの声も消え、お年寄りだけが残っていましたが、それも少しずつ減っていきました。
 とても賑わっていた商店街は、一軒また一軒とシャッターが閉まったままになり、やがて壁がはがれ、天井が落ちて建物がだんだん朽ちていきました。
 その様子を陰からずっと見ていたものたちがいます。人がこの土地にあった山を削り、森を開き、海を埋めたてて住むようになるはるか前からこの土地に住んでいた人ではないものたちです。彼らは人が去ったこの町を人が住んでいた頃と同じように暮らしはじめました。
 この町の商店街は、今、再び賑わっています。
「芸術新潮」賞
 
- 《四つの瞳》 絵・言葉 鈴木 琢未
 2024年 53.0×65.2 cm アクリル、綿布ひとりのきみが 
 鏡のおもてに割られて
 ふたりになる。
 そのとき
 鏡の表面は
 切り分けられた
 果実のように
 濡れて光る。きみともうひとりのきみは 
 お互いを試すように
 見つめ合う。
 しばらくすると
 お互いの視線がずれた。この部屋には瞳が四つある。 
 鏡のきみは何を見たのだろうか。
 硝子の欠片を散りばめて
 このちいさな冬の部屋を
 明るく照らしだしてしまう。
 だから、ぼくは
 きみの片隅で
 スリッパのように身動きができなくなってしまうんだ。
上野松坂屋賞
 
- 《すきな人の手》 絵・言葉 秦 健児
 2024年 65.0×65.0 cm 油絵、キャンバスおかわりっ!!! 
 ママのごはんがだ~~~いすきっ!!
 もっともっと大きくなって
 イジワルなあの子も見下ろすの
 ワタシが大人になっても
 たまにはごはんを作ってね
 細くて長いママの手
 あんまり遠くへ行かないで
 ママが100才こえた時
 ワタシはいくつになるのかな・・・?
 もう「お母さん」ってよぶのかなねぇ お母さん 
 ニンジンはなくていいからね
