第5回「絵と言葉のチカラ展」受賞作品紹介(二)

齋 正機賞

  • 《この幕が下りるまで》
  • 《この幕が下りるまで》 絵・言葉 柴田 明宏
    2025年 53.0×45.5 cm 油彩、キャンバス

    「戻りたい過去などない」
    「描きたい未来もないわ」

    「いったいこれは誰の手になる筋書だろう」
    「まるで陳腐な茶番劇ね」
    「悲劇と呼ぶには哀しみが足りず」
    「鼻で笑われるのがせいぜいよ」

    「いずれにせよこの幕が下りるまで」
    「あんたもあたしも」
    「ままにならない己なるものを」
    「演じきるよりほかに仕様がないわね」

山下裕二賞

  • 《君を忘れない》
  • 《君を忘れない》 絵・言葉 大橋 春菜子
    2025年 45.5×53.0 cm 油彩、キャンバス

     急に雪が強くなってきたー、僕は、雪にはしゃぐ子供達に声をかける。この駅はね、パパの青春時代の思い出の場所でママとも出会ったんだよ。だから大好きなんだ。でも、もうすぐこの駅が、役目を終えて無くなるんだ、寂しいなあー。
     最初の出会いは、バイク野郎だった時、オロロンラインを北上し、海辺の小さな食堂で、その名を聞いた。利尻富士が目の前に見える小さな漁村、その近くの日本最北無人駅の話。北のロマンを求め人々がこの駅にやって来る。僕はそこで彼女と出会い今は子供達のパパとママだ。
     抜海駅、君に出会えた事で僕は新しい素敵な人生を生きている。今日は君に感謝を伝えるために家族でやってきた。今までご苦労様でした。そしてありがとう。
     僕は絶対に忘れない、君のことを、、、。

「芸術新潮」賞

  • 《みずをくむひと》
  • 《みずをくむひと》 絵・言葉 小林 努
    2025年 53.0×65.2 cm 岩絵具、墨、麻紙

    水を汲む人をよく見かける。
    いたるところに湧き水が出ており、
    日々水を汲むことが生活の一部に
    なっている。

    地酒の仕込み水に使う、湧き水場で
    水を汲む男性を見かけた。
    時が止まったかのようにしばし
    見てしまった。

    後ろ姿、仕草が父に似ていたからだ。

    大切に守り、大切に受け継ぐ。

    水を汲むことは、命を汲み、前に進み、
    生きることと思う。

上野松坂屋賞

  • 《真夜中のおにごっこ》
  • 《真夜中のおにごっこ》 絵・言葉 藤井 リベカ
    2025年 44.5×64.5 cm 珈琲、色鉛筆、鉛筆、アクリル

    こどもたちは真夜中に動き出す
    夜中のごーんごーんと響く時計とともに

    広く天井の高い家の廊下をこどもたちは走る

    世界が寝しずまった頃
    こどもたちは元気なのだ

    そうして世界が目を覚ます頃 こどもたちはとっくに目覚めているのだ

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